とりあえず何か書こう

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050624-00000411-yom-int
インドネシアでムチ打ち刑が施行されたという話。
でも、このニュースとは関係無しに、ムチについての思い出を書いてみようと思う。
小さい頃、親からムチで打たれた事がある。そう言うと、吃驚されそうだけど、実際はそんなに大した話では無い。まだ小学校低学年だった頃、青色のネコ型ロボットが出てくる漫画の中で、主人公のメガネ男子が、ガキ大将にムチで打たれる所を妄想して震えるシーンを読んだ私は、ムチというアイテムに心奪われたのだ。早速見よう見真似でムチを作る事にした。子供部屋の片隅に転がっていた弟の如意棒(尻尾がある少年が主人公のアニメのキャラクターグッズだ。卑猥な暗喩を思い浮かべた方には猛省を促したい)の先に、父親のスラックスのベルトをセロハンテープでグルグル巻きにくっつけて、即席のムチの出来上がりだ。その即席のムチの意外な出来の良さに興奮した私は、自らの中に湧き上がった暴力的な欲望を抑えきれなくなり、ムチを握り締めてキッチンに走りこみ、夕食の支度に勤しんでいた母親の太ももめがけて思い切り打ちつけようとした。しかし、あいにく私の家は大した豪邸では無い。キッチンの広さなんて知れている。そんな所でベルトがくっ付いた如意棒を振り回すとどうなるか。想像は簡単に付くと思う。食器棚や調味料入れに棒がヒットして、大惨事になったのだ。母親は、愛する子供の突然の凶行に慌てていたが、私は私で、目の前の、割れた皿や飛び散った塩と、自分の行為が上手く結び付けられずに呆然としていたため、すぐさま取り押さえられ、ムチも押収された。そして、母親は「あなた、何してるの!」という怒声と共に、左手で私の腕を掴み、右手で私の腕にムチを打ちつけたのだ。いかんせん、私も混乱していたので、ムチの痛みは覚えていないが、母親のムチを打つ動きが随分スムーズだった事は覚えている。あれから随分経った今でも、あれは未経験者の動きでは無いよな、と思っている。
私の人生に、次にムチが出てくるのは、私が20歳の頃だ。20歳のムチはちょっと穏やかでは無いかも知れないが、実際、これも大した話では無い。当時、仲良くしていた女の子の友達がSMクラブでアルバイトをしていたのだけれど、その子の家に遊びに行くと、「練習用」のムチがあったのだ。本物では無く、小学生の私が作ったような手作りの簡易ムチ。持ち手の部分は段ボールを丸めてガムテープでグルグル巻きにしたもの。ピュンって撓る部分は勿論ベルト。「最初は見よう見真似でも何とかなるか、って思ったんだけど、実際にお店でムチを持たされても、なかなか上手く行かないのよね。だから、家で一人で練習してるの」。練習熱心な女王様。私もその簡易ムチを触らせてもらったのだけれど、最初はなかなか上手く撓らなかった。ベルト部分がどうも意のままにならない。悪戦苦闘している私を見かねてか、女王様ちゃんはお手本を見せてくれた。「ポイントはね。手首の返し方」、そう言って彼女が握ったムチは見事に「バチン!」という音を立ててベッドの掛け布団にヒットした。
「良かった、うまく行って」、そう言いながらはにかむ女王様ちゃんを見て、一緒に笑いながら、私は小学生の時の事を思い出して、「お母さんもムチの練習をした経験があるのかな」と、少しだけ思った。